金日成のパレード--東欧の見た赤い王朝--監督:アンジェイ・フィディック 製作年:1989年 92分 今から15年ほど前にこのドキュメンタリー映画がテレビで紹介された。それ以来ずっとこの映画を捜し求めていた。そして、ついに、見つけたのである。果たしてどんな赤い王朝が繰り広げられてあるのか? 1988年といえば、ソウルオリンピックの年である。それと同じくして、北では朝鮮民主主義人民共和国の建国40周年記念式典が行われた。この式典に正式に招待されたポーランド国営のポルテル社が製作をしたのもである。 当初はその記念式典の模様が延々と画面に映るだけだと思っていたのだが、それよりも、金日成の生家、小学校、行楽地、映画関係の会社などなど、どこで取材してもみんな口を揃えて「親愛なる指導者様」「偉大な首領様」という形容詞付で、金日成がいかに偉大な指導者であるかをカメラに向かって言うのに割かれていた。そのひとつに板店門の映像があった。2001年に韓国側から板店門に行った記憶がよみがえって来た。映画の中では逆側からで「南朝鮮はアメリカの奴等にだまされている」という。 板店門は美しいところであった。ここが非武装地帯とは信じられないほどのどかな田舎であった。その風景とは裏腹に南と北の兵士が境界線を境にして、お互いを監視しあっている非常に緊迫感のあるところだった。そこで説明されたのは、北側がいかに狡猾に南に侵入しようとしているかであった。実際第三トンネルという北が南に向かって地下数十メートルのところに穴を掘り、ソウルに向けて戦車を送り込む計画だったと聞かされた。しかし、この映画の中で北側は、その逆らしきことを言っている。 一糸乱れぬマスゲーム、マンセイ(万歳)と大声を出しながらの百万人行進、偉大な指導者のためのこの式典に、どれぐらいの時間とお金と労力が費やされたことか。ただひとつの思想が良しとされる世界を見て、なんとも言えない気分になった。
by greengage
| 2004-11-17 22:52
| 映画
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