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ぼんやり日記

十三夜

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是非にといわれて、お関は身分違いの結婚をし、太郎という子供にも恵まれ、綺麗な着物を着て、丸髷を結って奥様風になりをし、世間には幸せ者と映ってはいたが、夫のお関に対する態度は冷たく耐え難いものであった。子供可愛さゆえに今まで我慢に我慢を重ねてきたが、辛抱も堪りかねて、決心をして子供を置いて実家へと戻る。娘がそんな仕打ちを受けていようとは露知らず、初めて実情を知らされて、お関の両親は驚く。両親に胸のうちを吐き出しては見たものの、実家に帰ったことにより、一層家族に迷惑がかかることを悟る。どうせ死んだと思って、再び嫁ぎ先の原田の家に帰るために、車屋を呼んだ。

お関を乗せて車を引いていたが、突然に車屋は、途中で降りてほしいという。話をしているうちに、その車を引いているのは、近所で昔親しかった、大店の煙草屋の息子の禄之介であった。本来ならばこの禄之介と一緒になって煙草屋の切り盛りをする夢を抱いていたお関ではあったが、急な縁談話がまとまり、結婚と同時に音信不通となった人であった。禄之介はお関が嫁いでから放蕩息子となり、今はやつれた身なりの車屋となっていたのだった。

この後少しだけ続くのですが、こんなに切ない、やりきれない思いをさせる小説だとは思いませんでした。昔、樋口一葉は優れた小作品を残したと習いましたが、文章がなじめずにあまり読んだことはありませんでした。今回読んでみて、やはり一般的に良いとされているものは、いいものなんだなぁと感じました。
by greengage | 2006-02-13 02:44 |
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若葉の季節になりました

by greengage
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